Garnet

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日本語題

あ~お

愛されている自信がないとか、情けない悩みを自分が抱くとは思わなかった。

哀愁漂う秋空に夜の帳が下りていく。

愛すべきカプートニク、その終末

愛する人の還る場所になりたい

愛だの恋だの、互いの汚ねえ所さらけ出してなんぼだろ。

あいつが居なくてもそれなりに楽しいけれど。

あいつの靴先が砂利を抉る様を見るともなしに眺めていた。

哀鳴あいめいするべテルギウス

会えない年数分変わっていくのなら、今夜後ろからそっと首を絞めてしまいたかった。

青白く燃ゆシリウス

悪趣味だと思った。試されていると思った。弟は何も語らない。代わりに、常に怯えを含ませていた。それは誘いをかける時に微妙に合わぬ視線であったり、矢継ぎ早に連ねられる言い訳だったりから滲むのだ。彼は何より俺の拒絶を恐れているようだった。

秋めく湖畔はどこか物寂しく映る。

浅い切り傷ほどじくじく痛む。

味気ない朝食

紫陽花が色付く季節になると、胸の奥深くに沈めた痛みが鈍く蘇る。

アスファルトに散り染める花びらを踏みつけていく人々、滲む桃色、ああ今年も春が来た。

汗で湿った髪をくしゃりと掻き混ぜるのが好きだ。

汗ばむ薬指

汗をかく麦茶のコップを指先でなぞる。

婀娜っぽい流し目に誘われ、ふらりと後を追う。

頭が真っ白で、腹の中は真っ黒で笑えるくらいおめでたい人ね。はばかりさま。誰もあなたみたいな人は好いてはくれないわ。

「頭の悪いセッ○スがしたい気分なんだよ」と身も蓋もないことを言う。

「頭沸いてんじゃねぇの」と投げた台詞に自分でダメージを受けた。

暑いとぼやく声を寝転がったまま聞き流す。

あなたに許される境界線を確かめたい。

あなたに忘れ去られることが死ぬほど怖い。

あなたの遺骨でダイヤモンドを創りたい。

貴方の一瞬でも預けてくれるなら構わなかった。

あなたの血肉になる

あなたの初めて、あるいは最後の人になりたかった。

あの空に飛ばした僕らの反抗分子は白い切先で夏の青を切り裂いて、きっと君はその割れ目に落ちていったんだろう。

アパートの室内に風鈴を吊るす気弱さが好き。

甘ったれたラブソングでも歌ってろ

天邪鬼も過ぎればただの我儘だと、気づいたのがあまりに遅かった。

甘やかな過ち

雨に混じるよく知った匂いを気づかれないように吸い込んだ。

抗えない衝動に従って無声音で名を呼ぶ。

アルビレオのひと雫

あれが欲しい、これが欲しいってあんた強請るだけで私に何も与えてくれないじゃない、お生憎さま、その程度のおためごかしに引っかかる女じゃないわ。

あんたが真っ赤な椿の花を咥えるところを見てみたい。

アンタレスは君に惑溺する

アンドロメダの祈り

意外に器用な指先は慣れた様子で刃物を繰って、林檎の上でしゃくりと赤い蛇を作る。

行き過ぎた献身を求められるほど溺れていった。

行き止まり

行けもしない旅行をあれこれ想像した。

いじらしい態度で隙をつくられると、何時ものように打てば響く返事ができなくて困る。

痛みを擦り寄るような恋をした。

一度入ってしまえば夜が更けて湯が水へ変わっても出るのが億劫になるのがバスタブというものだ。ふやけていく指先で水を掻きながら、額の髪を後ろへと掻き上げた。

一面の銀世界が眩しく、思わず目を瞑る。

一瞬の沈黙の後、どう取り繕うか思考を巡らす。

一線を超えた先にお前がいる

いつの間にか部屋に増える私物が嬉しくて堪らなかった。

いつもくだらない事で突っかかってくる嫌な奴だった。

てつくリゲル

生命散らせよ

祈るような目で見られることが何よりも苦痛だった。

色褪せたモビールがくるくると回っているのをバスタブの中から眺めていた。割れた硝子から射し込む陽の中で塵が煌めいている。

色褪せない感情を教えてくれ

薄暗い過去を背負い、背徳に微笑んでいる妄想がしっくりくるような男だった。

美しい共犯者

移り気なあんたを引き留める術を知らない。

生まれ変わったら何になりたい? 僕はね、青い蝶になって潮水を飲みに、白い砂浜へ翅を休めに行きたいよ。

うるわしのユータナジー

生い茂る葉と夜の香りに隠れ、背徳に浸る。

置き去りの純情

「お寒くなって参りました」前を行く女中の後頭部で乱れ一筋ない黒髪が黄熱灯の光に艷めいているのを、凝と見ていた。

落ちた赤椿の首を爪先で押しやる。

一昨日の雨ですっかり金木犀の花も落ちてしまって、何処へ行っても香っていたあの花の匂いはもうしなくて、僕だけが一昨日の感傷に取り残されている。

同じ墓に入りたいとか言ったらきっと笑われる。

朧月に滲む黒影を追い掛ける。

お前意外と口悪いのなと呆れたように笑われるのが好きだった。

お前だけだよと嘯く口が憎らしくて掌で塞いだ。

お前に優しく手折られたい

お前の知らない所がないように染め直して。

お前は犬だろう? 食い意地のはった、どうしようもない汚い犬だ。下水道で寝起きして、そこらの路傍で野垂れ死んでも誰も気にとめない存在だ。

お前はひとりじゃ何も出来ないねと構われるほど嬉しかった。

思えば数日前から何やら落ち着きがなかった。

オリオンの祈り

終わらぬ復讐

か~こ

カーテンコールは終わらない

会話の絶えた部屋にテレビの笑い声が虚しく響く。

悔恨のグローセ・ベーア

還る場所の異なる二人が互いの止まり木になりたがった。

顔を合わせれば口論ばかり 会わなければ気に掛かる。

顔を思い出せないほど月日が経ったが、あの視線や縋るような目は忘れることができない。

隠し持った粉末をさり気なくグラスに落とす。

学生時代に思いつきで書いた手紙を未だにとってある。

過激な歌ばかり聴き好んでいるくせに、いざ口論で言いたい事の一つも形にできない。

掛け違えた感情は修正する機会を失った。

影踏み

傘もささずに何処いくの。

微かな震えを楽しむようにゆっくりと指先を舐る。

形あるもの

片割れ

片割れのカストル

噛みたい指

紙で切れた指に赤い玉が滲む。

硝子越しの恋

ガラスの心臓

体の隅々まで明け渡してしまうと、こんな事まで許せる自分に驚いた。

体を重ねれば情が移ると言われている。

枯れ落ちた花からは死の香りがする。

可愛いひと

可愛くない奴と吐き捨てたら、お前がなと舌打ちが返ってきた。

感情を読み取られまいとするかのように、煙草に火をつける彼の口許をぼうと見る。

「願望を押し付けて美化するのも大概にしろ」が最後の会話だった。

消えていく鬱血の痕が寂しかった。

消えない轍

機械仕掛けの鼓動

聴こえぬ心音

傷口を抉られるほど生きていると感じる。

期待と緊張とがじっとり下腹を焦がす。

気まぐれな男の一挙手一投足に振り回されている。

気まぐれに擦り寄って来たくせに、こちらから手を伸ばせばするりと抜け出ていく。

君の言葉は桎梏しっこくとなって僕を繋ぎ、何かをする気力をすべて奪っていく、抜け殻のような僕に寄り添って世話を焼くのが君の生き甲斐かい?

───君はヴィエルジュじゃないだろ?
───私は山羊座よ
───ハッ

君はポラリスをいだけるか

キメラの恋

きらきら

嫌われるより、無関心でいられる方が余程つらい。

切れた電話をぼんやりと見やった。

切れ長の眼が猫のように細まる様が愛おしい。

気を引くために子供じみた悪戯を止められない。

愚者の愛

くだらないと吐き捨てた「恋人らしい事」にどうしようもなく憧れている。

愚直なあなたに愛されたい

口を開けばネガティブなことばかり溢れる。

首を食んだ犬歯が肉を裂く妄想をする。

グラン・シャリオの木蔭

黒い河の水は月明かりを輝々きらきらと弾き、全てを白へと閉じ込める冬の中でそこだけ生きているようだった。明日の朝にはここも凍ってしまうのだろうか。

黒いネクタイは息が詰まる

気だるげに差し出された手に軽く口づける。

月光に浮かぶ尖塔は黒い魔物のように物々しい。

激情も度を過ぎれば一周まわって何も感じなくなるのかと、この歳にして知った。

獣の息は腐った血肉の匂いがする。人と獣が対等になるには人が野生に還るしかなく、薬で命を生かすこと、着飾ること、職を得て評価されること、サービスの対価にお金を払うこと、繊細な感傷に浸ること……“人が人であるため”の、文化的で健全で人間らしいとされるものは全て、同時に人が野生に還ることを拒むものだ。

獣のような眼で見るな

紅茶とジャムとエトワール

告白する気概などないと高を括っていたから、告げられた瞬間逃げそびれたと思った。

今年の桜もあっという間に寿命を終えそうだ。

言葉がなくともこの関係に確かな証が欲しい。

子猫の眼

このまま貴方だけを奪い去りたい

壊したいもの

壊れた腕時計をいつまでも捨てられずにいる。

こんな時あの人ならどうするだろうと何時も考える。

今夜限りで他人になる

さ~そ

罪悪感であんたを縛れるなら道化にでもなってやる。

最近は服に染み付いた煙草の臭いを消すのも面倒になってしまった。

最近話題の映画をふたりで観ませんかと誘われた。

探り当てたケースには煙草が一本もなくて思わず舌打ちした。

「酒飲む時もお行儀いいのな」と褒めたら、なぜか拗ねられた。

差出人不明

寂しい思いはさせないと豪語したのが馬鹿みたい。

寂しいこども

冷めきった味噌汁を手持ち無沙汰にくるくる掻き混ぜる。

さよならは言わない

戯言アレルギー

三年前に深い科に落ちてから罪悪感は薄れるばかり、僕の前頭葉はすっかり泥濘に沈んでいる、まるで死んだように生きていきたい。

潮風に奪われる瞳の水分を、ことさらゆっくり瞬きする動作で取り戻そうとした。

自虐家と常套句

自己愛の塊

嫉妬するカノープス

染み込んだ香水を煙草の臭いで誤魔化せると信じ切っている、その単純さが憎らしい。

湿った土の匂いは身体の底に眠る創造の記憶にきっと結びついていて、雨の日の地面が濡れ冷やされていくときの匂いを必要以上に嗅いでしまう理由もきっとそのせいだ。

遮断機を降ろす

終演そして開幕

シュレディンガーの恋心

憧憬と恋愛を同一視するな。

初っ端から何かと神経を逆撫でする奴だった。

知らない顔

知らない顔で微笑まれて 立ち入れない線を引かれた。

知らない表情に遭遇する度 据わりが悪くて困る。

知らないものを知らないと言いきれる素直さが羨ましかった。

知らぬ女を連れているのを見かける度 胸が痛んだ。

知られたくない秘密ほど ばれた時の妄想は楽しい。

蜃気楼を踏む

心臓を止めたい

人類史と誰がためのサルベイション

水滴が頬を叩く感触で朦朧とした意識が浮上する。

スターゲイザー、夢を呑む

すっかり呂律の回らない口元は白痴めいて笑まい、君の婀娜のなにかを媚びる眼差し、僕は全てに知らないふりをしてコップに水を汲む。

スプートニクに捧ぐ歌

鋭い音を立てて砕けた硝子が床に散る。

脆弱な結晶に触れれば一瞬で溶けてしまう。

生存確認が結婚式の招待状なんてどんな冗談だよ。

正反対なのに妙に惹かれ合う不思議な関係。

寂寥感が牙を剥く

刹那、奥底に追いやった記憶が脳裏をよぎる。

背中合わせの感傷を知る

背骨をたどる

先生の手のひらに零れた紅い果実はその割れ目から艷めく小さな粒を覗かせており、子供らはめいめい手を伸ばして木の実を口に含んだ。

先生の手は魔法の手だとはしゃぐ声が好きだった。

羨望も焦燥も劣情もひっくるめて愛とか言っちゃうチープな恋愛が俺達にはお似合いだ。

そういえば今日の星座占いは最下位だった。

まがきの向こうでは女たちが白いかんばせを涼しげに表へと向けていた。

底の読めない瞳を熱っぽく見つめる。

そして気圏へ傾ぐベガ

その男は黒猫のようだった。しなやかで気まぐれな黒い獣。ゆらゆらと揺れる尻尾が思わせぶりで、だが気安く触れさせない。男の歳は20代後半だというので、猫と呼ぶにはいささかとうが立つ。しかし黒豹などと例えてやるには、どうにも隠しきれない粗暴さが邪魔だった。

空を泳ぐいさなはきっと飛沫を上げながら青色に沈んでいくのだろう、その時顔に吹き付ける潮水は幾ばくか、轟く波音は何処までも。

空を泳ぐ魚

そんなに気に食わないなら失恋ソングでも作ってろ。

た~と

第一印象はお互いあまり良くなかったと思う。

黄昏に染まる

脱力したまま、膝裏を伝う汗を感受する。

たなごころに蝶を閉じ込めただなんて、なんて可愛らしい表現をする方でしょう。

大して親しくもない泥酔した知人なんて、お荷物以外の何でもない。

堕落と献身

誰かの声に酩酊した脳を甘く揺さぶられる。

近づくほど手に入らないと思い知る。

窒息するカペラ

調子付くから優しくしなくていいよ。

調子外れな鼻歌は最近流行りのバンドの新曲らしい。

沈黙する深海魚

疲れた体を湯船に沈めたものの、今度は出るのが億劫になってしまった。

使わない二人分の食器を捨てられずにいる。

付き合う時、半人前同士が集まれば一人前になるねとよく分からない口説き文句を言われた。

月並みな告白と返答で始まった関係だった。

翼の名残という骨の膨らみを甘噛みする。

翼の名残に接吻して。そしたら飛べるような気がするんだ。十三階から飛んだ彼女もきっとそう思っていたはずだよ。

冷たい手

冷たい微笑

手負いの獣のような荒い息遣いが響く。

出来たての傷から赤い血を舐めとった。

できない約束

点々と並ぶ灯りが異世界へ続く入口のようだ。

遠くまぼろしは透けて

道化になって踊りたい

特に意味もなく手首を握って膨らんだ血脈のゆっくりとした響きを感じ取ろうとすれば、目の前で喚く声もくぐもって聴こえる気がした。

歳を重ねるほど臆病になる。

轟く雷鳴は何か良からぬ事の前触れのようだ。

隣で星を数えたい

隣に横たわった男が柔い手付きで髪を梳く。

止まり木

ドライヤーの音の向こうで何やら喚く声がする。

飛んで火に入る

貪欲な身体と引け腰な感情が全く噛み合わなくて、少し笑った。

な~の

殴られた痛みで愛情を確かめる。

殴り愛でマウントをとれ

投げつけられた言葉よりも、冷めきった二人分の食事に胸が痛んだ。

名残惜しげに鎖骨にかじりつく馬鹿を、容赦なく引き剥がす。

夏の夜は理性の薄皮を一枚ずつ剥いでいく。

何事もないような澄まし顔で酒を煽る横顔を盗み見る。

名前を呼ばれたような気がして、心地よい微睡みから引き戻される。

鳴らぬ電話はただの石

なんで生きているかなんて分からないよ、死にたくないって浅ましい一心で生にしがみついているだけだからさ。

肉体に邪魔されず融け合うなんて甘美な妄想を止められずにいる。

西へ沈むエステラの街

滲んだ声を背中越しに聞き流した。

煮詰めた果実のような声と言ったら、詩人かよと鼻で笑われた。

睨む眼が、薄闇で獣のように爛々とする。

濡れた紫陽花ごしに顔も見ないで別れを告げた。

濡れたアスファルトにネオン色が溶ける。

濡れた前髪を払い、指先で鼻梁をなぞる。

猫になって足元に丸くなる妄想が止められない。

猫を撫でる手付きが思いのほか様になっていて驚いた。

ねじれの位置

濃霧の中あてもなく彷徨う夢を見た。

は~ほ

灰色の標識

拝啓 世界一馬鹿なあなたへ

拝啓××さま 僕が真面目くさって手紙をしたためるなんて意外に思うでしょうね。

吐いた息の白さに寒さが一層沁みるようだ。

馬鹿と煙は

馬鹿な男

はじめての

初めて触れた頬はとても冷たかった。

肌が月光を弾いて薄暗い部屋の中で白く浮かび上がる。

病人は寝てろと真面目な調子で布団に押し込まれたのが、今更常識人気取りかと癪に障った。

春めく車窓と溺れるスピカ

晩夏の空に入道雲が亡霊のように立ちはだかる。

彼岸花は血を吸って赤くなるのだと子供の頃に教えられた。

飛翔するアルタイル

ひと欠片でも重なる感情はあるか

ひとつが満たされれば次が出てきて、飽きるということを知らない。

人として大切な何かがすこんと抜け落ちたような男だ。

ひとつに

人の献身に胡座をかくな

人肌の温もりが手に馴染む。

皮肉屋の末路

ビビットな感情

皮膚一枚で隔てられた他人であることが煩わしい。

秒針は薄氷を刻めるか

縹渺ひょうびょうたる独善的レクイエム

鼻梁をなぞる

ピンク色の肺を汚すため、深く息を吸い込んではニコチンにまみれた煙を吐く。一連の行為を「緩やかな自殺」と呼んだのは確か唯一の兄だった。デリカシーの欠如を体現したような男だが、なかなか洒落たことを言うものだと妙に感心したのを憶えている。

ピンで展翅された蝶の鱗粉が妖しげに瞬く。

ふいに懐かしい声を聞いた気がした。

不格好な一人遊び

深みに嵌るのは不味いと警戒するほど、気づけば視線はその男に吸い寄せられる。

不完全な鼓動

不器用ながらに愛したかった

不在票を受け取ると、あいつの家に置いた私物を取りに行く口実を失ったことを知った。

不釣り合いな感情

訃報が届いた時、ラブホテルで行きずりの男と寝たばかりだった。

プルーストの栞

震えるデネブ

フロップニクのかた

別にお前じゃなくてもなどと平気で嘯くのがおかしかった。

ペンを握る指が意外に長くて感心した。

僕は間引かれる側の人間だから君の悩みのひとつも分かりゃしないよ、それでも声を聞きたいと思うのは思い上がった願いなんだろうね。

ポップソングを焼き直したような言葉だけが上滑りするようだ。

仄かに期待して鳥籠を覗くもそこは伽藍堂だ。

骨のダイヤモンド

惚れたが負けとは言うけれど

ま~も

まさか庇護すべき相手に牙を剥かれるなんて考えもしなかった。

真白ましろい墓

真っ白の五線譜を指先をなぞったって一音も湧きゃしないよ、僕の中の音楽は枯れてしまった、誰にも授ける言の葉のひとつもありゃしない。

真っ直ぐな眼差しを受け止めるのが苦しかった。

窓から射し込む月光が床に紋様を描く。

迷い子たち

真夜中の迷子

満開の桜が誰よりも似合うひとだった。

まんじりともせず、水に変わった湯船で夜を明かした。

見上げてくる瞳が澄んでいて、何故か責められているようでイラついた。

見えない楔

身代わりにでも使ってくれ

水面みなもへ堕ちたフォーマルハウト

耳障りな声で嗤って

耳に痛いほどの静寂の中、必死に息を殺す。

魅惑のアマ・デトワール

無益な妄想

迎えにおいで

剥き出しの感情は熱くて苦くて煩わしい。

報われない感情をあなたのせいにしてしまいたい。

無神論者は軽骨きょうこつな夢を見る

むせ返るような花の芳香に目眩がする。

群れて咲く紅い曼珠沙華の中で一際目立つ白色は「白一点」とでも言うのだろうか。

酩酊を殺す毒

目が覚めた時、台所から聴こえる音が心地いい。

目が離せない人間というのが世の中にはいるものだ。

目尻を拭う温もりに頬を擦り寄せる。

メテオ、僕の願いを連れてって

目的のない待ち時間は酷く退屈だ。

物にも人にも執着しない貴方が怖い。

桃色は憂鬱に溺れて

モラトリアムに心酔する

や~よ

約束を反故にする旨の言い訳が電話ごしに酷く遠い。

やり直したいと縋る声が情けなく滲む。

柔い眼

憂鬱な食卓

夕焼けに染まる金髪をいつか触りたいと願っている。

揺らめく蜃気楼に目をすがめ、額の汗を拭う。

ゆらりと立ちのぼる劣情に思考を焼かれていく。

夜空で紅茶を作るとき、夕闇のベールを3グラムとプロキオンをひと欠片、そして紫の雲を少々

酔ってとろんとした瞳で見られると、仕舞い込んだ願望が暴れそうになる。

呼び止めてきた男が誰だったか、記憶の底をあさる。

夜の匂い

夜の街に消える母を引き止めたくて、真っ赤な口紅を残らず折っておくような子供だった。

夜を泳ぐ

よれた写真のしわを伸ばし、じっと見る。

ら~ろ

裸足で駆けていった校庭の焼けるような砂の熱さ、指の間を抜けていくざらつく土、青い抜けるような空と欅の揺れる枝、プランターに植えられた朝顔の苗。

欄干から身を乗り出して黒々とした水を見つめれば、早朝に浮かぶ白く膨らんだ自らの肢体がありありと目に浮かぶようだった。そしてその光景は心を安らかにした。

ランプの傘をなぞると埃で指が薄汚れる。

累卵の縁

ロクデナシ2匹

わ~

別れた日から好きでもない煙草が手放せない。

忘れたがり

笑えない冗談と受け流そうとしたら、なぜか声が震えて焦った。

悪いひと

数字題

38度の記憶

英字題

Mr.サラマンダー、お迎えはまだですか

Via Lattea